2023年2月1日

【行政書士開業準備】インボイス登録は必要?課税事業者へ転換する場合の判断基準

大阪市都島区の行政書士デザイン事務所です。

 

2023年10月1日からインボイス制度が開始される予定です。

 

インボイス制度 特設サイト

 

インボイス(適格請求書)とは、お客さまに対して、正確な適用税率や消費税額などを伝えるためのものです。

 

インボイス(適格請求書)とは、請求書だけのことではなく、請求書、納品書、領収書、レシートなど、「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」など一定の事項が記載された書類やデータの総称のことです。

 

インボイス制度の開始後は、お客さまから求められた場合には、インボイス(適格請求書)を交付しなければなりません。

 

お客さまは、インボイス(適格請求書)を保存することで、行政書士へ支払った消費税を「仕入税額控除」することができます。

 


仕入税額控除とは、納付する消費税額を計算するときに「課税売上に係る消費税額」から「課税仕入れ等に係る消費税額」を差し引くことです。

 納付する消費税額 課税売上に係る消費税額 課税仕入れ等に係る消費税額

「ー 課税仕入れ等に係る消費税額」の部分が、お客さまが行政書士へ支払った消費税です。


 

インボイス(適格請求書)を発行できない場合、お客さまは、行政書士に支払った消費税を仕入税額控除することができません(一定期間は部分的に仕入税額控除ができる経過措置があります。2023年10月1日から2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2029年9月30日まで50%を仕入税額控除できます)。

 

お客さまの消費税の納付負担を軽減するために、行政書士はインボイス(適格請求書)の発行をしなければいけません。

 

インボイス(適格請求書)を発行するには、税務署に登録申請書を提出して、適格請求書発行事業者になる必要があります。

 

インボイス登録

 

行政書士のインボイス登録は必要?

インボイス(適格請求書)は、お客さまに対して、正確な適用税率や消費税額などを伝える書類やデータのことです。

 

インボイス(適格請求書)を発行できるのは、インボイス登録をした適格請求書発行事業者のみです。

 

適格請求書発行事業者になるということは、課税売上高が1,000万円以下であっても課税事業者にならなければいけません。

 

インボイス登録をするかどうかは、現在課税事業者なのか免税事業者なのか、免税事業者である場合は、お客さまがインボイス(適格請求書)を必要としているかどうかで判断しましょう。

課税事業者の場合

すでに消費税を納付している課税事業者の場合は、登録申請書を提出しましょう。

 

インボイス登録をして適格請求書発行事業者になることで、インボイス(適格請求書)を発行できるようになります。

 

2021年10月1日から適格請求書発行事業者の登録申請書の受付が開始されています。

 

2023年10月1日のインボイス制度開始に間に合うように登録申請をしましょう。

免税事業者の場合

現在、基準期間における課税売上高が1000万以下の場合などで消費税の申告義務のない免税事業者も、インボイス(適格請求書)を発行するには、インボイス登録をして適格請求書発行事業者になる必要があります。

 

これから行政書士として開業する方も同じです。

 

インボイス登録をして適格請求書発行事業者になった場合は、課税事業者になるので、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても消費税の申告義務が生じます。

 

インボイス登録をするかどうかは、日頃どのようなお客さまと取引しているか、今後どのようなお客さまと取引していく予定なのかで決定しましょう。

 

お客さまが一般消費者のみの場合

お客さまが一般の個人消費者のみの場合は、お客さまがインボイス(適格請求書)を必要としていないので、インボイス登録をする必要はありません。

遺言作成や相続手続など、一般の個人のお客さまを対象にした専門業務を選択している行政書士の場合が当てはまると思います。

 

お客さまが法人や個人事業主の場合

お客さまが法人や個人事業主の場合は、お客さまからインボイス(適格請求書)を求められる場合があります。

法人や個人事業主のお客さまを対象になるような業務を専門している場合は、インボイス(適格請求書)を発行できるようインボイス登録をして適格請求書発行事業者になっておいた方がいいでしょう。

 

けれど、お客さまが法人や個人事業主あっても、免税事業者であったり、課税売上高が5,000万円以下で「簡易課税制度」を選択されている課税事業者である場合は、お客さまがインボイス(適格請求書)を必要としていないので、適格請求書発行事業者になる必要はありません。

 


簡易課税制度とは、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税事業者が「簡易課税制度」を選択した場合、売上げに係る消費税額にみなし仕入率を乗じた金額を仕入れに係る消費税額として売上げに係る消費税額から控除できる制度です。

 消費税の納付税額 課税売上に係る消費税額 (100% みなし仕入率)

簡易課税制度を選択している場合は、課税売上に係る消費税額だけで納付税額を算出するので、仕入税額控除を考慮する必要がありません。行政書士業の場合のみなし仕入率は、50%になります。


 

適格請求書発行事業者の登録方法

2023年10月1日から適格請求書発行事業者になるには、2023年9月30日までに登録申請書の提出が必要になります。

 

登録申請は、所轄の税務署に書面で提出するか、e-TAXを利用して申請することができます。

 

2023年9月30日に申請した場合でも2023年10月1日から適格請求書発行事業者になることができますが、登録番号の発行には時間がかかります。

 

e-Tax提出の場合 約3週間

書面提出の場合 約2か月

 

インボイス制度開始時に登録番号をインボイス(適格請求書)に記載したい場合は、早めに登録申請をしておきましょう。

 

登録申請書

登録申請書の書き方

e-Taxソフト(WEB版)

e-Tax(マニュアル)

 

適格請求書発行事業者の名称と登録番号は、国税庁のウェブサイトにて公表されます。

 

登録の種別は「個人」または「法人」、法人の登録番号は「T」+「法人番号」になります。

 

登録番号は、個人事業主で屋号を2つ以上持っている場合は一つ、個人事業主と法人を1つずつ経営している場合は二つ、法人を複数経営している場合はその法人の数になります。

 

課税事業者になった場合

インボイス登録をして適格請求書発行事業者になった場合は、お客さまにインボイス(適格請求書)を発行できるよう請求書などの様式を変更しなければいけません。

 

インボイス(適格請求書)には、従来の記載項目の他に「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」などの記載が必要になります。

 

課税事業者になった場合は、お客さまへのインボイス(適格請求書)を発行など自分が売り手の場合だけでなく、自分が買い手になる場合の対応も必要になります。

自分が買い手の場合

本や備品、取引先への手土産の購入、電車やバス、タクシーの交通費の支払いなどには消費税が含まれています。

 

支払った消費税を仕入税額控除するためには、支払い先からインボイス(適格請求書)を受け取って保存しなければいけません。

 

現在、事務所の賃料や行政書士会費などを口座振替で支払っていて請求書や領収書が交付されてない場合であっても、支払い先からインボイス(適格請求書)を受領する必要があります(インボイス事項が記載された契約書と銀行の振込金受取書を保存することによってインボイス(適格請求書)の代わりとすることもできます)。

 

ホームページの制作などを外注する場合も同じです。支払い先が適格請求書発行事業者かどうかを確認し、インボイス(適格請求書)を発行できない事業者へ支払いを行う場合には、支払いにかかる消費税を仕入税額控除することができないことに注意してください。

 

また、行政書士業務で立替金を支払う場合にも注意が必要です。

 

消費税が含まれた金額を立替払いする場合は、支払い先からのインボイス(適格請求書)と立替金精算書などの書類を保存しなければいけません。国や自治体への手数料は基本的に非課税のため、その場合は仕入税額控除を考慮する必要はありません。

 

ただし、「簡易課税制度」を選択する場合や「2割特例」を受ける場合は、仕入税額控除を考慮する必要がないので、支払い先からのインボイス(適格請求書)を保存する必要はありません。

 


2割特例とは、免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合、納付税額を売上げに係る消費税額の2割とすることができる激変緩和措置の一つです。

 消費税の納付税額 課税売上に係る消費税額 0.2

緩和措置の期間は、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間です。


 

また、税込1万円未満の仕入れや経費の支払いにはインボイス(適格請求書)の保存が不要となる「少額特例」もあります。

 

基準期間における課税売上高が1億円以下の場合は、仕入れや経費の額が税込1万円未満であれば、今まで通りレシートや領収書の保存をしていれば、インボイス(適格請求書)の保存は必要はありません。

 


少額特例とは、基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者の場合、支払い額が1万円未満の支払いや経費であれば、インボイス(適格請求書)がなくても仕入税額控除できる激変緩和措置の一つです。

緩和措置は、2023年10月1日から2029年9月30日までの6年間です。


 

課税事業者になった場合には、インボイス制度に対応した会計ソフトの導入も必要になります。

 

まとめ

2023年10月1日からインボイス制度が開始される予定です。

 

現在免税事業者の場合、適格請求書発行事業者(課税事業者)になるかどうかは、お客さまがインボイス(適格請求書)を必要としているかどうかで判断しましょう。

 

また、自分が売り手の場合にお客さまにインボイス(適格請求書)を発行しなければいけないのか、自分が買い手の場合に支払い先からインボイス(適格請求書)を受領・保存しなければいけないのか、分けて考えるようにしましょう。

 

課税事業者になった場合は、2割特例や少額特例などの激変緩和措置や納付事務負担を軽減するための簡易課税制度があります。

 

2割特例を受ける場合や簡易課税制度を利用する場合は、課税売上に係る消費税額から納付税額を算出するので、預かっている消費税があれば、たとえ赤字であっても消費税の納付義務が発生してしまう点にも注意が必要です。

 

行政書士開業1年目で収入より支出が多い場合は、2割特例や簡易課税を選択せずに、本則課税(原則課税)を選択した方がいいでしょう。

 

買い手の場合には、仕入れや支払った経費に消費税が含まれているのかどうかにも注意してください。

 

インボイス制度開始時に適格請求書発行事業者になるには、2023年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。

 

インボイス制度の詳細についてやその他の税金に関することは、お近くまたはお知り合いの税理士へご相談ください。

 

インボイスコールセンター(インボイス制度電話相談センター)

【電話番号】0120-205-553(フリーダイヤル)

【受付時間】9:00から17:00(土日祝のぞく)

 

行政書士デザイン事務所へのご相談は、お電話(06-7896-7707)、または問い合わせフォームからお願いします。

 

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【行政書士開業準備】どれを選ぶ!?本則課税、簡易課税、2割特例(インボイス制度)