2023年3月1日

【行政書士開業準備】どれを選ぶ!?本則課税、簡易課税、2割特例(インボイス制度)

大阪市都島区の行政書士デザイン事務所です。

 

2023年10月1日からインボイス制度が開始される予定です。

 

インボイス制度|国税庁

 

消費税の課税方式には、「本則課税方式(一般課税方式)」と「簡易課税方式」という2つの方法があります。

 

また、免税事業者が課税事業者になった場合のインボイス制度の特例で、「2割特例措置」(小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置)が新しく設けられる予定です。

 

インボイス制度の開始後は、「本則課税方式」「簡易課税方式」「2割特例」のどれかを選択して消費税を納付することになります。

 

消費税選択

本則課税方式

本則課税方式は、受け取った消費税額から支払った消費税額を引いて納付額を計算する方法です。

 

 納付する消費税額 課税売上に係る消費税額 課税仕入れ等に係る消費税額

 

「課税仕入れ等に係る消費税額」を差し引くことを、仕入税額控除と呼びます。

メリット

開業年度などで赤字の場合(課税売上に係る消費税額課税 仕入れ等に係る消費税額になった場合)は、課税事業者であっても消費税を納税する必要はありません。支払い過ぎた消費税は、還付を受けることができます。

デメリット

仕入税額控除をするため、すべての支払い先からインボイス(適格請求書)を受領、保存したかを確認する必要があり、経費処理の事務負担が大きくなります。

税込1万円未満の経費の支払いには、インボイス(適格請求書)の保存が不要となる「少額特例」が設けられる予定です(課税売上高が1億円以下の事業者の場合・2023年10月1日から6年間)。

 

簡易課税方式

簡易課税方式は、課税売上げに係る消費税額にみなし仕入率を掛けて納付額を計算する方法です。

 

 納付する消費税額 課税売上に係る消費税額 (100% みなし仕入率)

 

みなし仕入率は、事業ごとに6つに区分されています。

 

第一種事業(卸売業) 90%

第二種事業(小売業) 80%

第三種事業(製造業、建設業、農業、林業、漁業など) 70%

第四種事業(飲食業などとその他の事業) 60%

第五種事業(サービス業など) 50%

第六種事業(不動産業) 40%

 

行政書士業は、サービス業にあたるので、みなし仕入れ率50%で計算します。

メリット

課税売上に係る消費税額から消費税額を計算するので、支払い先からインボイス(適格請求書)を受領する必要がありません。本則課税方式と比べて、経費処理の事務負担が軽くなります。

また、行政書士業のように、課税仕入れが少ない場合は、本則課税方式と比べて消費税額が減る場合が多いです。

デメリット

課税売上に係る消費税額から消費税額を計算するので、たとえ赤字でも課税売上があれば、消費税の納税義務が発生します。

また、簡易課税方式を選択できるのは、課税売上高が5,000万円以下の事業者のみです。事前に届け出が必要で、一度選択した場合は、原則2年間継続する必要があります。

 

2割特例

2割特例とは、インボイス制度における激変緩和措置の一つです。

 

2割特例は、簡易課税方式と同じで、課税売上げに係る消費税額に0.2を掛けて納付額を計算します。

 

 納付する消費税額 課税売上に係る消費税額 0.2

 

簡易課税方式のみなし仕入れ率が80%の場合と考えればわかりやすいかもしれません。

メリット

課税売上に係る消費税額から納付する消費税額を計算するので、支払い先からインボイス(適格請求書)を受領する必要がありません。本則課税方式と比べて、経費処理の事務負担が軽くなります。

また、業種区分を考慮したり、事前に届け出る必要もないので、簡易課税方式よりも簡単に選択することができます。

デメリット

課税売上に係る消費税額から消費税額を計算するので、たとえ赤字でも課税売上があれば、消費税の納税義務が発生します。

また、2割特例を選択できるのは、免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者のみです。もともと課税事業者である場合や基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、適用対象外になります。

2割特例の適用期間は、2023年10月1日から3年間です。

 

2割特例と簡易課税方式の併用について

「本則課税方式」と「簡易課税方式」のどちらを選択している場合でも、確定申告のときに「2割特例」を選択することができます。

 

簡易課税方式の届け出を提出していない場合 「本則課税方式」か「2割特例」を選択可能

簡易課税方式の届け出を提出している場合 「簡易課税方式」か「2割特例」を選択可能

 

簡易課税方式の届け出を提出している場合は「本則課税方式」を選択できないので、開業年度などで赤字になる可能性がある場合は注意が必要です。

 

消費税額の計算例

課税売上770万円(うち消費税70万円・税額10%)、課税仕入れ等に係る消費税額220万円(うち消費税20万円・税額10%)の場合

 

本則課税方式の場合

70万円 20万円 50万円

簡易課税方式の場合(行政書士業:サービス業 みなし仕入れ率50%)

70万円 (100% 50%) 35万円

2割特例の場合

70万円 0.2 14万円

 

課税売上220万円(うち消費税20万円・税額10%)、課税仕入れ等に係る消費税額330万円(うち消費税30万円・税額10%)の場合の納付消費税額(赤字の場合)

 

本則課税方式の場合

20万円 30万円 ー10万円 ※還付されます

簡易課税方式の場合(行政書士業:サービス業 みなし仕入れ率50%)

20万円 (100% 50%) 10万円

2割特例の場合

20万円 0.2 4万円

 

まとめ

インボイス制度の開始後、課税事業者になった場合は、「本則課税方式」「簡易課税方式」「2割特例」のどれかを選択して消費税を納付します。

 

どの方法を選んでも、メリットやデメリットがあるので、事業の売上や利益を考えて選択しましょう。

 

インボイス制度の詳細についてやその他の税金に関することは、お近くまたはお知り合いの税理士へご相談ください。

 

インボイスコールセンター(インボイス制度電話相談センター)

【電話番号】0120-205-553(フリーダイヤル)

【受付時間】9:00から17:00(土日祝のぞく)

 

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