2022年9月21日
【著作権登録】効果は保護期間の延長!実名登録の要件と申請方法
大阪市都島区の行政書士デザイン事務所です。
著作権法では、著作権に関する事実関係の公示や著作権が移転した場合の取引の安全の確保などのために、登録制度が定められています。
著作権は、著作物を創作した時点で自然に発生します。
著作権の登録は、著作権を取得するための制度ではありません。
著作権の登録には、実名の登録、第一発行(公表)年月の登録、創作年月日の登録、著作権の移転の登録、出版権設定の登録、質権設定の登録など、たくさんの種類があります。
登録の種類によって目的や効果が異なりますので、それぞれの効果と費用をよく検討して申請をしてください。
また、著作権の登録は、法律上の登録機関(文化庁またはソフトウェア情報センター)へしなければ、法的な効果は生じない点も注意が必要です。
著作権登録制度
実名の登録と効果
実名の登録とは、無名(匿名)または変名(ペンネーム)で公表した著作物を実名で登録することです。
無名または変名で公表された著作物の保護期間は、公表してから70年間です。
実名で登録をすることで、登録された者が著作物の著作者と法律上推定され、保護期間は著作者の死後70年間になります。
保護期間を延期するには、実名の登録以外にも、無名や変名で公表した著作物を作者の実名で改めて公表し直すといった方法もあります。
要件
実名の登録をするには、以下の要件をすべてを満たす必要があります。
著作物が公表されていること
著作物は、公表されている必要があります。公表とは、著作物を上演、演奏、上映、公衆送信、口述、展示し公衆に提示することで、発行(著作物の複製物を公衆に譲渡または貸与すること)も公表に含まれます。公表は50人以上、発行は50部以上が、発行または公表した目安になります。
公表が無名または変名で行われていること
著作物は、無名または変名で公表されている必要があります。実名や法人の名称、実在する団体名義、著名人の名前を借りて公表した場合は、実名の登録はできません。
申請者が著作者または著作者から遺言で指定された者であること
申請者は、著作者(自然人)または著作者から遺言で指定された者である必要があります。著作者であれば、著作権者でなくても構いません。著作者が死亡していて遺言で指定された者がいない場合、法人が著作者の場合は、実名の登録はできません。
登録免許税
実名の登録の登録免許税は、9,000円(収入印紙)です。
申請が却下された場合は、納付した登録免許税の還付されます。
必要書類
登録の申請は、書面での郵送のみです。
簡易書留やレターパックなど、配達記録が残る方法で郵送してください。
申請先
文化庁著作権課 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
実名登録申請書
申請書は、文化庁ホームページからダウンロードできます。
実名登録申請書
実名登録申請書の記載事項は、以下です。
❶ 著作物の題号
著作物の題号(タイトル)を記載します。
実名の登録は著作者が申請するので、題号が不明ということはありません。
著作権の明細書の記載内容と一致している必要があります。
❷ 登録の原因及びその発生年月日
「公表した年月日」、「無名」「変名」のどちらで公表したのかを記載します。
実名の登録は公表されていることが要件ですので、「未公表」ということはありません。
例)令和〇年〇月〇日に〇○△△の変名で公表した。
実名を証明する資料の記載内容と一致している必要があります。
❸ 登録の目的
「実名の登録」と記載します。
❹ 著作者
著作者の氏名、住所を記載します。
著作者が法人の場合は、実名の登録はできません。
実名を証明する資料の記載内容と一致している必要があります。
❺ 前登録の登録番号
「なし」と記載します。
❻ 申請者
登録通知書の発送のため、郵便番号、連絡先の電話番号を記載します。
代理人が申請する場合は、申請者の欄の後に、代理人の住所・氏名を記載してください。
代理人が申請する場合は、委任状の添付が必要です。
❼ 添付資料の目録
申請書に添付する資料名(著作物作の明細書、実名を証明する書類の名称、委任状など)と通数を記載してください。
例)著作物の明細書 1通
<実名登録申請書 記載例(参考:「登録の手引き」文化庁)>
複数を同時に申請する場合は、登録の目的が同一である場合に限り、同一の申請書で申請が可能です。
著作物の明細書
著作物の明細書は、文化庁ホームページからダウンロードできます。
著作物の明細書
著作物の明細書の記入事項は、以下です。
❶ 著作物の題号
実名登録申請書と同じ題号を記載します。
❷ 著作者の氏名
実名登録申請書と同じ著作者の氏名を記載します。
❸ 著作者の国籍
著作者が外国人である場合、国の名称を記載します。
❹ 最初の公表の際に表示された著作者名
「無名」または「変名」と記載します。実名登録申請書と同じ内容を記載してください。
❺ 最初の公表年月日
実名登録申請書の発生年月日と同じ内容を記載します。
❻ 最初に発行された国の国名
外国人の著作物であるときにのみ、国の名称を記載します。
❼ 著作物の種類
著作物の種類を記載します。
「言語の著作物」「音楽の著作物」「舞踊・無言劇の著作物」「美術の著作物」「建築の著作物」「地図・図形の著作物」「映画の著作物」「写真の著作物」「プログラムの著作物」などから選択して記載します。雑誌、辞典などのような編集物の場合は「編集著作物」と記載します。
❽ 著作物の内容または体様
著作物の内容または体様を200字から400字程度で記載します。
著作物の種類が美術の著作物、建築の著作物、図形の著作物、写真の著作物の場合は,文章に加えて、写真や図面など(A4以下で1部のみ)を添付できます。添付する場合は、実名登録申請書の添付資料の欄に「著作物の複製物 1部」と追記します。
<著作権の明細書 記載例(参考:「登録の手引き」文化庁)>
実名を証明する書類
実名の登録には、実名を証明する書類の提出が必要です。
申請者(著作者)の戸籍謄本、住民票の写し、マイナンバーカードの写し、在留カードの写しなどを添付してください。
委任状
代理人が申請する場合は、委任状が必要です。
委任状の様式は決まっていないので、以下を参考にして各自で作成してください。
<委任状 例(参考:「登録の手引き」文化庁)>
上記の書類以外にも、著作者の遺言により指定された者が申請する場合は遺言の写しが必要です。
共同著作物など著作者・著作権者が複数存在する場合は、第三者の同意または承諾をを証明する書類(同意書)が必要です。
標準処理期間
申請書が、審査を経て登録または却下されるまでの標準処理期間は30日です。
登録通知書交付は、原則メールで通知されます(申請書にメールアドレスを記載してください)。
登録は、申請の受付の年月日に効力が生じます。
申請書類の事前チェック
申請書類の不備を防ぐため、申請書を郵送する前に文化庁に事前確認を依頼してください。
事前チェックには、通常2〜3日、最大約1週間ほどかかります。
収入印紙を貼付せずに、申請書の案と添付書類をメール、FAXまたは郵送で送付してください。
申請先
文化庁著作権課 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
FAX 03(6734)3813
e-mail ctouroku@mext.go.jp
まとめ
実名の登録には、登録された者が著作物の著作者と法律上推定され、公表後70年間から著作者の死後70年間へと著作物の保護期間を延長させる効果があります。
著作権は著作物を創作した時点で自然に発生しますので、著作権の登録は、必ずしも必要ではありません。
著作権の登録の種類によってそれぞれ目的や効果が異なりますので、効果と費用を検討をして申請をしてください。
行政書士デザイン事務所では、著作権登録の申請代行サポートを行っています。
著作権の実名の登録 55,000円〜(税込)※別途、登録免許税9,000円が必要です。
ご相談は、お電話(06-7896-7707)、または問い合わせフォームからお願いします。
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