2022年7月6日

【ドローン飛行許可】標準マニュアルのままで大丈夫?独自マニュアルの作成方法

2022年12月5日から標準マニュアルの内容が大きく改定されました。ただし書などを遵守すれば、独自マニュアルの作成が不要になるケースがありますのでご確認ください

 

大阪市都島区の行政書士デザイン事務所です。

 

ドローンの飛行許可申請には、飛行マニュアルの添付が必須です。

 

飛行マニュアルには、ドローンの飛行時や飛行前後に守らなければいけないルールがたくさん定められています。

 

飛行許可取得後は、飛行マニュアルを遵守してドローンを飛ばさなければいけません。

 

飛行マニュアルには、国土交通省が用意している「標準マニュアル」と飛行内容に合わせて自身で作成する「独自マニュアル」があります。

 

標準マニュアルには、ドローンを安全に飛行させるための最低限のルールが記載されています。

 

標準マニュアルを使用する場合は、飛行許可申請の際に、飛行マニュアルの添付を省略することができます。

 

けれど、標準マニュアルは基本的なマニュアルで、飛行場所や飛行方法が制限された内容になっています。

 

飛行マニュアルに従わない飛行は、航空法違反です(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)。

 

標準マニュアルを使用するときは内容を必ず遵守し、飛行内容にそぐわない場合は、独自マニュアルを作成して許可承認を取得してください。

 

飛行マニュアル

包括申請と個別申請

ドローンの飛行許可申請には、包括申請と個別申請の2つの方法があります。

 

包括申請と個別申請の違いは、「飛行場所を特定して申請するか」どうかです。

 

包括申請では、飛行場所を特定せずに、飛行区域を「全国」、飛行期間を「最大1年間」とした飛行許可を取得できます。

 

包括申請で飛行許可を取得しておけば、都度、飛行許可を申請する必要がないのでとても便利な申請方法です。

 

けれど、どのような場合にでも包括申請ができるわけではありません。

 

飛行場所や飛行方法、また組み合わせによって、飛行経路を特定して申請(個別申請)しなくてはいけないので、その場合は包括申請ができません。

 

【ドローン飛行許可】包括申請できるのはどんな場合?個別申請との違いを解説

 

許可と承認

航空法では、100g以上のドローンを以下の空域・飛行方法で飛行させる場合に、国土交通省の許可や承認が必要になります。

 

100g未満のドローンや以下の空域や飛行方法以外で飛行させる場合は、許可承認を取得する必要はありません。

許可が必要な3つの飛行空域

①空港などの周辺

②150m以上の高さの空域

③人口集中地区の上空

承認が必要な6つの飛行方法

④夜間飛行

⑤目視外飛行

⑥人・物から30m以内の飛行

⑦催し場所の上空

⑧危険物輸送

⑨物体投下

 

これらの飛行のうち、どの飛行空域や飛行方法を選ぶか、または組み合わせるかによって、包括申請できるかが決まります。

 

【ドローン飛行許可】許可承認が必要な場合は9つ!3つの許可と6つの承認

 

包括申請できない飛行

許可や承認が必要な飛行のうち、以下の飛行をそれぞれ個別に行う場合には、包括申請することができます。

 

③人口集中地区の上空

④夜間飛行

⑤目視外飛行

⑥人・物から30m以内の飛行

⑧危険物輸送

⑨物体投下

 

③人口集中地区の上空、④夜間飛行、⑤目視外飛行、⑥人・物から30m以内の飛行、の4つの許可承認を包括申請でまとめて取得する方が一番多いとされています。

 

けれど、以下の空域や方法、または組み合わせで飛行させる場合には、飛行経路を特定する必要があるので、包括申請はできません(個別申請になります)。

 

①空港などの周辺

②150m以上の高さの空域

③人口集中地区の上空、④夜間飛行、を同時に行う場合

④夜間飛行、⑤目視外飛行、を同時に行う場合

補助者を配置しない⑤目視外飛行(DIPS申請不可)

 

また、以下の飛行空域や飛行方法、飛行方法の組み合わせでは、飛行経路だけではなく飛行日時も特定して申請する必要があるので、包括申請はできません(個別申請になります)。

 

③人口集中地区の上空、④夜間飛行、⑤目視外飛行、を同時に行う場合

⑦催し場所の上空

 

また、趣味目的、研究開発目的での飛行の場合も、包括申請はできないので注意してください。

 

標準マニュアルとは

包括申請する場合には、標準マニュアル02(場所を特定しない申請について適用)を使用します。

 

標準マニュアル02

 

標準マニュアルでは、「1.無人航空機の点検・整備」「2.無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項」「3.安全を確保するために必要な体制」の3点について定められています。

 

標準マニュアルにはたくさんの禁止事項がありますので、しっかりと読んで、ルールに則ってドローンを飛行させましょう。

 

標準マニュアルで禁止されていること

包括申請の標準マニュアルの「3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制」では、以下の飛行が制限されています。

 

第三者の上空での飛行

風速5m/s以上の状態での飛行

雨の中での飛行

第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近での飛行(2022年12月5日 ただし書きが追加されました)

高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近での飛行

高圧線、変電所、電波塔、無線施設などの施設上空及び付近での飛行(2022年12月5日 ただし書きが追加されました)

人または物件との距離が30m以上確保できない離発着場所(2022年12月5日「可能な限り選定」と文言が追加されました)

人又は家屋が密集している地域の上空での夜間飛行

人又は家屋が密集している地域の上空での目視外飛行(2022年12月5日 ただし書きが追加されました)

夜間の目視外飛行

 

人又は家屋が密集している地域の上空での夜間飛行、 夜間の目視外飛行の場合は、飛行場所を特定して申請(個別申請)する必要があるので、独自マニュアルを作成しても包括申請では申請できません。

 

高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近での飛行の場合も、独自マニュアルを作成しても、許可承認の取得は難しいとされています。

 

独自マニュアルの作り方

独自マニュアルは、標準マニュアルを元に、追記・修正をして作成します。

 

独自マニュアルを作成する際は、「無人航空機の飛行に関する許可承認の審査要領」を参考にしながら作成してください。

 

審査要領

 

ドローンの飛行許可承認は、審査要領に基づいて審査がなされています。

 

審査要領には、ドローンを飛行させる際の安全体制について細かく記載されているため、独自マニュアル作成のヒントが書かれています。

 

審査要領を元に、標準マニュアルを修正した独自マニュアル作成の例をいくつか挙げますので、ドローンの飛行許可承認を申請される方は参考にしてください。

 

なお、申請内容やタイミング、審査部の担当者によって、以下の内容通りに申請しても補正が入る場合がありますので、その点はご了承ください。

例1)風速5m/s以上での飛行

標準マニュアルには、「風速5m/s以上の状態では飛行させない」との記載があります。

 

標準マニュアルを使用する場合は、風速5m/s以上の状態ではドローンを飛行させることができません。

 

風速とは、地上10mでの10分間の平均風速のことで、風速5m/sは時速18㎞/hになります。

 

地上の風速ではなく、ドローンの高さでも風速であることに注意してください。

 

審査要領の「4-3 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制」には、以下の記載があります。

 


4-3-1(3)取扱説明書等に記載された風速以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止すること


 

また、標準マニュアルの「2.無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項」には、以下の記載があります。

 


2-8(3) 5m/s以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止する


 

「原則として、風速5m/s以上の状態では飛行させない。ただし、業務上、風速5m/s以上の状態での飛行が必要が生じた場合には、機体メーカーが定めた風速以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることが出来なくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止する」

 

標準マニュアルを上記のような内容に修正することで、風速5m/s以上の状態でも飛行が可能になります。

例2)学校や病院などの上空での飛行

2022年12月5日に、航空局標準マニュアルが改定され、以下のただし書きの内容が追記されました。ただし書き部分を遵守して飛行させる場合には、独自マニュアルを作成しなくても、第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近でもドローンを飛行させることができます。


第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし、当該施設から飛行の依頼があった場合は、休校日、休診日、早朝など第三者が往来する可能性が低い時間帯とし、飛行経路を当該施設内に限定した上で、一定の広さのある場所を飛行させるものとする。また、経路下における第三者の立ち入りについて制限を行い、第三者の立ち入り等が生じた場合は、速やかに飛行を中止するほか、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。


 

標準マニュアルには、「第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない」との記載があります。

 

標準マニュアルを使用する場合は、学校のグラウンドなどの上空でドローンを飛行させて、写真や動画の撮影をすることはできません。

 

審査要領の「5.飛行形態に応じた追加基準」の「安全を確保するために必要な体制」部分には、繰り返し以下のような記載があります。

 


・飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること

・飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと

・飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと


 

また、標準マニュアルの「3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制」には、以下の記載があります。

 


・飛行場所に第三者の立ち入り等が生じた場合には速やかに飛行を中止する。


 

「原則として、第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし、業務上、これらの場所上空やその付近で飛行させる必要が生じた場合には、あらかじめ現地およびその周辺の確認を行い、飛行時間帯を休日や早朝、飛行経路を当該施設敷地内に限定し、飛行経路の直下やその周辺に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う補助者の配置を行う。また、飛行場所に第三者の立ち入り等が生じた場合には速やかに飛行を中止する」

 

標準マニュアルを上記のような内容に修正することで、学校や病院などの上空でも飛行が可能になります。

人または物件から30m未満の距離での離発着

2022年12月5日に、航空局標準マニュアルが改定され、「可能な限り選定する」という文言が追記されました。第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定し、人や物からできる限り30m以上離れてドローンを離発着させる場合には、独自マニュアルを作成しなくても、ドローンを飛行させることができます。


人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を可能な限り選定するとともに、周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。


 

標準マニュアルには、「人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所及び周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する」との記載があります。

 

標準マニュアルを使用した場合、⑥人・物から30m以内の承認を取得していても、人または物件との距離を30m以上を確保できる場所でなければ、ドローンを離発着させることはできません。

 

許可承認の審査要領の「5-2 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行を行う場合」には、以下の記載があります。また、「5-3 地上又は水上の人又は物件との間に30mの距離を保てない飛行を行う場合」にも同様の記載があります。

 


5-2(1)無人航空機の落下による第三者に対する危害を防止するため、人又は家屋の密集している地域の上空であっても、第三者の上空で無人航空機を飛行させないことを要件とし、この場合において、次に掲げる基準に適合すること

a)機体について、第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する構造を有すること

・プロペラガード
・衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着等

c)安全を確保するために必要な体制について、第三者の上空で無人航空機を飛行させないよう、次に掲げる基準に適合すること

・飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること
・飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと
・飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと


 

「人または物件との距離が30m以上確保できる離発着場所および周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。ただし、人または物件との距離が30m以上確保できない場合は、機体にプロペラガードを装着する。また、人との距離が30m以上確保できない場合は、飛行状況や周囲の気象状況の変化等を監視し、第三者が機体に近付かないよう注意喚起を行う補助者を配置し離発着させる」

 

標準マニュアルを上記のような内容に修正することで、人または物件との距離が30m以上確保できない場所での離発着が可能になります。

夜間飛行を行う場合

標準マニュアルの「3-3 夜間飛行を行う際の体制」には、「飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する」との記載があります。

 

標準マニュアルを使用する場合、たとえば、夜間にドローンを50m高さで飛行させる場合には、ドローンの直下の地点を中心に直径100mの範囲を第三者立入禁止区画にしなければいけません。

 

このような状態でドローンを飛行させることが難しい場合には、審査要領の「5-3(3)夜間飛行の安全を確保するために必要な体制」を参考に、標準マニュアルを修正し、追加的な安全上の措置を講じることを証明する必要があります。

 

上記の作成例を参考にして、標準マニュアルを修正してみてください。

 

まとめ

包括申請は、飛行区域を「全国」、飛行期間を「最大1年間」とした飛行許可を取得できるのでとても便利です。

 

けれど、国土交通省が作成した包括申請用の標準マニュアルでは、たくさんの飛行制限がかかっています。

 

標準マニュアルに記載されていることが飛行内容にそぐわない場合は、独自マニュアルを作成して許可承認を取得しましょう。

 

独自マニュアルは、無人航空機の飛行に関する許可承認の審査要領を参考にしながら作成しましょう。

 

なお、飛行許可承認を取得してドローンを飛行させるには、飛行マニュアルの内容を遵守しなければいけません。

 

独自マニュアルで許可承認を取得するだけではなく、作成した内容をしっかりと守ってドローンを飛行させましょう。

 

 

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