2022年3月16日

【お役立ち情報】行政書士の委任契約書や領収書に収入印紙は必要?

大阪市都島区の行政書士デザイン事務所です。

 

行政書士が交わす委任契約書や、行政書士が発行する領収書には、金額に関わらず、収入印紙を添付する必要はありません。

 

印紙税とは、契約書や受取書など金銭のやり取りが生じる文書の作成者に課される税金のことです。書面に収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税の支払いをします。

 

収入印紙の貼付が必要な文書の種類と金額は、国税庁の印紙税額一覧表で20種類に分類されています。

 

印紙税額一覧表

 

委任契約書の場合

契約の種類には、請負契約や委任契約などたくさんの種類があります。

請負契約

請負契約とは、受注側が仕事を完成することを約束し、依頼側がその仕事の完成品に対して対価を支払う契約のことです。

 

請負契約の契約書は、印紙税額の一覧表の2号にあたります(2号文書と呼ばれます)。

 

印紙税額一覧表

 

請負契約の契約書には、基本的に代金に応じた収入印紙の貼付が必要です。契約代金が記載されていない場合は、200円の収入印紙を貼れば大丈夫です。代金が1万円未満の場合は非課税になります。

 

委任契約

委任契約とは、仕事の完成を約束するのではなく、事務処理を行う仕事を依頼する契約のことです。仕事をすることを約束する契約で、報酬は仕事を遂行するという行動に対して支払われます。

 

委任契約には、委任契約と準委任契約とがあります。委任契約は法律行為を委託する契約であるのに対して、準委任契約は事実行為の委託をする契約です。

 

委託契約の契約書には、基本的に収入印紙を貼る必要はありません。

 

けれど、更新が必要な契約や契約期間が定まっていない契約、契約期間が3か月を超えるような継続的な取引を行う場合は印紙税額の一覧表の7号にあたり、収入印紙の貼付が必要です(7号文書と呼ばれます)。7号文書の収入印紙は、一律4,000円になります。

 

印紙税額一覧表

 

契約の際の印紙税は、受注側と依頼側で税額を折半して負担するのが一般的です。契約書を2通を作成して双方がそれぞれ保管する場合は、双方が1通ずつの印紙代を負担します。

 

行政書士との契約は委任契約にあたるので、委任契約書(7号文書を除く)に収入印紙を貼付する必要はありません。

 

領収書の場合

5万円を超える金額の領収書には、印紙の貼付が必要です(印紙税額一覧表の17号文書にあたります)。

 

印紙税額一覧表

 

5万円には消費税は含みません。税抜き金額で5万円以下であれば非課税となり印紙の貼付は必要ありません。

 

行政書士が発行する領収書の場合は、金額が5万円を超えていても、収入印紙を貼る必要がありません。

 

これは、印紙税法の第5条の非課税文書について定められています。

 


(非課税文書)
第5条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、次に掲げるものには、印紙税を課さない。
1 別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書
2 国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書
3 別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの
引用|e-gov 印紙税法


 

第5条の第1項に「別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書」という文言があります。リンク下部の別表第一の非課税物件の欄に「2.営業に関しない受取書」という記載があります。

 

別表第一 課税物件表

 

この「営業に関しない受取書」が具体的にどんな文書なのかは、通達の中で示されています。

 

印紙税法 法令解釈通達

 

この法令解釈通達の第17号文書の「26.弁護士等の作成する受取書」には、次のように記載されてます。

 


(弁護士等の作成する受取書)
弁護士、弁理士、公認会計士、計理士、司法書士、行政書士、税理士、中小企業診断士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士、設計士、海事代理士、技術士、社会保険労務士等がその業務上作成する受取書は、営業に関しない受取書として取り扱う。
引用|17号文書 国税庁


 

行政書士も弁護士等の中に含まれています。

 

以上から、行政書士が発行する領収書は金額が5万円を超えていても営業に関しない受取書に当てはまるので、収入印紙を貼る必要がありません(行政書士法人が発行する領収書には、収入印紙を貼付する必要があります)。

 

印紙税法の課税文書は、紙の文書が対象です。

 

課税文書にあたる場合でも、メールなどオンラインで取り交わす電子文書の場合は、収入印紙を貼る必要はありません。

 

収入印紙を貼り忘れた場合は、印紙税法違反となります。その場合は、未納付の印紙税額とその2倍の金額の合計額(印紙税額の3倍)の過怠税を支払わなくてはいけません。

 

また、契約書に収入印紙を貼り忘れたとしても、交わした契約は無効になるわけではありません。

 

印紙税の手引き

 


 請負契約の契約書には収入印紙の貼付が必要

 委任契約の契約書には収入印紙の貼付が不要

 行政書士との契約は委任契約にあたるため、契約書の収入印紙貼付は不要

 5万円を超える領収書には収入印紙の貼付が必要

 行政書士の作成する領収書は「営業に関しない受取書」にあたるため、収入印紙貼付は不要


 

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